TOP MESSAGE 鈴木 正俊 株式会社ミライト・ホールディングス
代表取締役社長

時代の転換点において社会が解決を必要とする課題に「総合エンジニアリング&サービス」力で挑んでいきます。

時代の転換点に際して

 日々の事業経営を通じ、今まさに時代の変わり目が訪れていると実感しています。世界的なメガトレンドとして引き続き注目を浴びる、3つのD―デジタル化(digitalization)、脱炭素化(decarbonization)、人口変動(demographic change)―は、至るところでこれまでとは次元の異なる破壊的な社会の変容を引き起こしています。日本では、少子高齢化によって人口の年齢構成が変わるとともに、人口減がいよいよ本格化しています。その傍らで、テクノロジーは目覚ましい進歩を遂げており、情報通信産業はIoT※1時代を迎えています。こうしたトレンドが相まって、“変化点”とも呼べる状態が、今ここに生じています。折しも戦後に整備されたインフラの多くが物理的な更改期を迎える中、単に更新するのではなく、未来のあるべき姿に向けてふさわしく作り直すことが求められています。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を一つの節目として、新しい都市の姿、社会の姿が模索されています。
 こうした社会的ニーズに対し、様ざまな場所で活動する主体同士を効率的に連携させる「ネットワーク型社会」というコンセプトが、有効な解決策の一つとなると考えています。人材を含む限られた資源を柔軟に組み合わせることで、生産性向上を図ることができます。エンジニアリングは「様ざまな構想に具体的な形を与えること」だと言えますが、これを主要事業として国内外で展開するミライトグループには、ICT=情報通信技術を活用したネットワーク型社会の構築と、ネットワーク型社会が秘めるポテンシャルの具現化に貢献する、という使命があります。私たちは、ネットワークが必要とする情報通信インフラが膨大なエネルギーを消費するという課題も認識し、その解決策も提案しながら、使命を果たす努力を重ねています。

  • ※1 IoT(Internet of Things) 様ざまなモノがインターネットにつながることによる革新

フロンティアへの挑戦

 2017年4月にミライトグループが発表した第3次中期経営計画では、主要施策の第1に「事業領域の拡大・ビジネスモデルの変革」を掲げ、従来の事業の枠を超えたフロンティアドメインに挑む方向性を明示しています。これは、創業の時代から続く開拓者精神を継承すると同時に、これまでの実績を土台として新しい社会のニーズに応える姿勢を明確化するものです。
 ミライトグループは、これまで手がけてきた仕事を通じて、通信・土木・建築、電気・電力・交換、無線・放送といった長きにわたり培ってきた技術のほか、近年ではICT関連技術を蓄積してきています。これらに磨きをかけ、新しい技術も取り入れながら、老朽インフラ対策、環境エネルギー、Wi-Fiソリューション、IoTやビッグデータ、AIといった今後一層の発展が見込まれる領域のプロジェクトに取り組んでいます。その中では、お客さまや協業者の仕事について積極的に学び、それぞれの状況に応じたエンジニアリング&サービスを設計することによって、コストと品質のバランスを見出すよう努めています。こうした具体的な取り組みを積み重ねながら、変わりゆく社会に対し、スマートシティ、スマートライフの進展という分野で、エンジニアリングのプロとして私たちらしい貢献を果たしていきたいと考えています。
 2016年度には環境・社会イノベーション事業とICTソリューション事業との合計売上高比率は4割弱でしたが、2020年度中に約6割まで拡大させる計画です。

生産性の向上

一方、当社グループのベースドメインである情報通信インフラ設備(国内における固定・移動体通信設備の建設・保守・運用、CATV設備など)においては、社会的ニーズに応えながら、生産性の向上へ多角的に取り組んでいます。
 生産性向上の中心的な施策の一つが、継続的なKAIZEN活動です。「KAIZENフェロー」という社内制度が定着し、資格を持つ社員が起点となって現場からの改善提案を促しています。2017年度は17,000件に迫る提案があり、件数の増加とともに内容も充実してきました。優れた提案はグループ全体で共有し、水平展開を促しています。一見地味に見えますが、利益率に効いてくる取り組みです。現場のことは現場が主体的に解決する、という責任感ある社風も定着させていきたいと考えています。また、ロケーション分散による非効率性を改善するための事務所統合も進めています。NTT向け業務関連では、中期経営計画の最終年度(2020年度)までに、全国で約70拠点から約50拠点へ集約する計画です。
 さらに、お客さまのご協力をいただきながら通年での工事平準化に努めつつ、業務の合理化を軸とした原価改善にも注力しています。なお、ミライトグループ全体でも、グループ会社・協力会社を含む工事能力の強化、顧客基盤の拡大、利益構造の改善のほか、業務プロセスの見直しとシステム化による間接業務削減に取り組んでいます。

人材力の発揮・組織力の進化

 ミライトグループの事業は、幅広い専門的技術と経験を持つ人材によって支えられています。中期経営計画においても、人材基盤の強化を主要施策の一つとして位置付けています。現在のミライトグループにおける施工系またはソフト系の業務関連資格数は合計で約11,000資格となっていますが、この層をさらに厚くし、新しい技術ニーズにも機動的に応えられるようにしていきます。重点的に取得する資格を設定するとともに、受験予定者には引き続き実務経験の機会を計画的に提供していきます。
 また、エンジニアリング人材の基礎能力の強化にも取り組んでいます。お客さまのニーズを深く理解し、期待に応える提案や施工・保守管理ができるように、研修環境の整備や、実務を通じた学びの促進に力を入れています。
 そして、多様な人材が持つ知識や視点を活かせる組織づくりを進めています。目まぐるしい環境変化に対応していく上で、組織の多様性は大きな強みになります。そのような観点から、女性の活躍推進にも注力しており、2017年には(株)ミライトと(株)ミライト・テクノロジーズというグループ中核事業会社2社が「えるぼし」認定を取得しました。一人ひとりの人材が安心して存分に能力を発揮できるよう、安全・労働環境の継続的改善や働き方改革にも取り組んでいます。
 人材力とその力を最大限に発揮するための組織力が、ミライトグループの事業におけるキーであり、その進化が事業発展の機会ともなるといえます。全ての人材がその力を遺憾なく発揮できる環境づくりや働きやすいロケーション配置のほか、拠点の集約、協力会社までを含めたグループ事業における階層の圧縮等事業構造の改革まで、グループ全体の組織力を進化させる取り組みを進めていきます。


第3次中期経営計画(2017〜2020年度)

基本方針 社会構造、通信環境の変化に対応し事業領域を拡大
顧客ニーズの多様化に応え、ビジネスモデルの変革にチャレンジ
利益を確保しながら事業運営を推進し、「総合エンジニアリング&サービス会社」として企業価値の向上と持続的な成長を目指す
主要施策 事業領域の拡大・
ビジネスモデルの変革
  • 環境・エネルギー、IoT、グローバルなどフロンティアドメインの積極的な開拓
  • 顧客ニーズに合わせた価格・品質のバリエーションを拡充
  • 多様な技術力、顧客基盤、全国施工体制などを活用した事業の拡大
  • パートナー戦略の推進などによる営業力の強化
事業基盤の強化・
生産性の向上
  • 工事平準化への取り組みやグループフォーメーションの見直し
  • グループシナジーによる効率化の推進
  • アカウント制の強化と個別工事の収支管理の徹底による収支改善
人材基盤の強化
  • 資格取得など技術力の強化
  • 顧客の期待に応える総合的なエンジニアリング力の強化
  • 働き方改革による活力のある職場の実現
資本政策・還元方針
  • 健全な財務体質の維持
  • ROE 8%以上の実現
  • 株主還元については、安定的・継続的な配当が基本
  • 総還元性向については、30%以上を目安に業績・資金状況などを総合的に勘案し判断
企業文化の変革
  • 安全・安心を最優先にKAIZEN推進による生産性向上を図り、ミライトブランドを確立
  • コーポレートガバナンスや環境対応の強化などによるCSRの推進

2017年度の実績と新たな経営統合

 2017年度(2018年3月期)の売上高は、前年度から297億円増の3,129億円となりました。700MHz帯テレビ受信対策工事の一時的な需要が大きく、PBX・LAN工事も堅調だったICTソリューション事業(187億円増)と、4G高度化工事や700MHz・3.5GHz関連工事が増加したマルチキャリア事業(72億円増)を中心に、全事業区分で売上高が増加しました。受注高は前年度から30億円増の3,263億円で、繰越工事高は1,282億円(134億円増)と過去最高水準でした。
 営業利益も、前年度から67億円増の167億円と、大幅増益となりました。売上高の増加、各事業における売上総利益率の改善、そして販管費抑制の効果が相まって、営業利益率は5.3%と、前年度から1.8ポイント上昇しています。また、当期純利益は51億円増の115億円、ROE(自己資本利益率)は8.8%となりました。
 ミライトグループは、これまで「総合エンジニアリング&サービス」会社を目指して、事業ドメインの拡張・強化を図ってきました。2018年10月に株式会社TTK(本社:仙台市)、2019年1月に株式会社ソルコム(本社:広島市)、四国通建株式会社(本社:今治市)の3社を、新たにグループのメンバーとして迎えます。エリアのお客さまとの間で長年にわたり密接な関係を築くことで確固たる地位を占めてきた3社が、東京・大阪を中心に全国展開を行うミライトグループと円滑な協調関係を結ぶことで、東北・中国・四国エリアにおける当グループの組織力は大幅に強化されることになります。
 なお、こうした状況を受け、2018年度(2019年3月期)におけるミライトグループの連結業績予想は、売上高3,650億円(既存グループでは3,240億円)、営業利益185億円(同、165億円)を見込んでいます。
 今後は、事業展開力強化と生産性向上を図れるよう、経営統合作業を具体的に進めていくこととしています。並行して、中長期的な展望をもって、社会とともにサステナブルに発展成長していく企業体としてのミライトグループを、より力強く成長させるための2019年度以降の新たな計画を、来春に向けて検討してまいります。


株主への還元

 株主還元については、安定的・継続的な配当を維持しつつ、総還元性向30%以上を基本線として、業績・資金状況なども踏まえて総合的に判断することを方針としています。2017年度は、期末配当金を前年度から5円増やし、1株当たり35円(中間配当金15円、期末配当金20円)としました。2018年度については、1株当たり40円(中間配当金20円、期末配当金20円)を予想しています。


「Your Company」として未来に貢献する

 ミライトグループでは、社会のニーズに応え、未来に貢献する会社になっていくことで、自然に次の仕事が生まれ、道が開けてくると考えています。世界的な潮流にも目を向け、持続可能な社会に向けた国際的な目標であるSDGs※2への貢献を、全ての事業活動を通じて進めるとともに、ESG強化の観点からは、事業のリスクと機会をより広い視野から捉え、的確に対応していきます。
 社会が未来の姿を求めて変化していく中、社会の未来に私たち自身の未来を重ね、社会のためにやるべき仕事、やりたい仕事を確かな品質で一つひとつ積み重ね、お客さまをはじめ関わりのある全ての方々からの信用を蓄積していく。社員一人ひとりが新たな仕事を切り拓き、仕事がその人を磨く。その過程で人が育ち、貢献への対価を得て、次の一歩に結び付けていく。そうした個人の活躍を会社基盤で支え、また、グループ各社の積極的な事業運営を柔軟なグループ体制で実現するというように、個の力を組織力で活かしていく。エンジニアリングという仕事の特性は「お客さまとともに作り上げて行く」ところにあります。こうした循環により、企業としてのサステナビリティ(持続可能性)が醸成されていく。今後、新規分野の開拓に一層注力することとなる中、お客さまとともに一つひとつの仕事を一から作り上げていくことになるミライトグループには、こうした循環が特によく当てはまります。このような形で社会に貢献する機会をいただくことで、「社会に活かされている会社」であることを強く自覚しています。
 私はしばしば、「Your Company」という言葉で、このような考えを表現しています。このレポートを読んでくださっている皆様にとって、ミライトグループが「あなたのために経営されている会社」と感じていただけるようになるために、社会のニーズに従い常に変化する企業体であり続けることにより、これからも一歩ずつ前進してまいります。

  • ※2 SDGs(Sustainable Development Goals)持続可能な開発目標(2015年9月の国連サミットで採択された)

技術を活用した事業領域の拡大